はじめに
昨日のニュースでメキシコの救助犬「プロテオ号」がトルコの被災地で殉職した、と話題になっていました。
プロテオ号には心からご冥福をお祈りします。
【天国へ】トルコ派遣の救助犬、捜索活動中に「殉職」 メキシコhttps://t.co/QnSBHsrv7m
大地震が起きたトルコに派遣された救助犬が、がれきの下での捜索活動中に死んだという。ロペスオブラドール大統領の定例記者会見の中で、サンドバル国防相が明らかにした。 pic.twitter.com/XHifursreX
— ライブドアニュース (@livedoornews) February 14, 2023
また、日本でも今年の1月に起きた山形県の土砂災害にて救助犬たちが捜索活動に参加している様子が報道されました。
今回は消防隊や自衛隊などと協力して、一刻もはやく被災者を見つけるために尽力してくれている救助犬について書いていこうと思います。
人と共に働く犬たちについては賛否両論あると思いますが、私は、犬と人の共生社会の実現へ向けて盲導犬介助犬聴導犬など補助犬、災害救助犬、警察犬・・すべての働く犬たちと共に生きる人々を応援しています。
災害救助犬とは?
災害救助犬は大きく分けて、3種類に分類されます。
- 地震などによる家屋倒壊現場で被災者を捜索する地震救助犬
- 山での遭難や行方不明者を捜索する山岳救助犬
- 海や湖で避難者救助にあたる、水難救助犬
日本では(1)の地震救助犬のことを災害救助犬と呼ぶことが多いです。
災害が発生した時、土砂や倒壊家屋の瓦礫に埋没してしまった見えない被災者の”いのち”を探し出すために人間の100万倍から1億倍とも呼ばれる嗅覚を利用し、災害時に被災者を探し出します。
災害救助犬のハンドラーは、緊急時の災害に備え、日ごろから消防隊や自衛隊と連携し、実践に近い訓練を行っています。
災害救助犬Q&A
Q 犬種は?
A 災害救助犬に犬種の指定はありません。多いのはラブラドールレトリバーやジャーマンシェパードドッグなどの大型犬ですが、倒壊家屋に出来た狭い隙間でも活動できるように小型の犬種の災害救助犬も認定されています。
犬種は問いませんが、犬の能力と性格は重要視されています。
Q 災害救助犬に向いている性格は?
- 人や他の動物に対して攻撃性がないこと
- 嗅覚が優れ、動作が機敏であること
- 捜索に対して強い意欲があること
- 集中力と忍耐力があること
- 体力があり、持久力があること
- 突然の物音や出来事に怖がらないこと
- 高い所や暗い所を怖がらないこと が必要とされています。
Q 災害救助犬になるには
訓練期間は基本的な訓練がおよそ6か月、(この間に瓦礫や騒音などに接する機会を設け、適性をチェックします。)
適性ありと認められた犬に対し、さらに1年から1年半の実践的な訓練を行い、その素質を伸ばしていきます。
こうして育成の完了した犬は認定試験にチャレンジします。
この試験で認定レベルをクリアした犬だけが災害救助犬として認定を受けることが出来ます。(合格率は約30%)
Q 災害救助犬と警察犬の違いは?
A 「人を探す」という点では、災害救助犬と警察犬は同じですが、警察犬は特定の人(容疑者など)の原臭を追いかけるという手法で人を探します。
一方、災害救助犬は要救助者の呼気や皮膚から剥がれ落ちたたんぱく質(ラフト)などを含んだ要救助者が発するストレス臭などの浮遊臭を感知し、人を探します。
災害救助犬は不特定の生存者をターゲットとすることが出来、動けずに同じ場所に留まっている、呼吸はしているが声が出ない、などといった状態の要救助者を原臭に頼らず捜索することが出来ます。
Q 災害救助犬は人の匂いを頼りに捜索すると聞きますが、災害現場にはたくさんの人がいます。なぜ被災した人だけに反応して探すことが出来るの?
A 災害救助犬は元気のない人を見つけるように訓練されています。立っている人=元気 と判断し、倒れている人、しゃがんでいる人を見つけて知らせます。
Q 災害救助犬はどのくらいの時間、捜索を続けられるの?
A 集中力が続くのは約20分と言われています。そのため、消防隊や自衛隊と密に連携を取り、情報を収集したうえで、捜索範囲を決定し、捜索を行います。
Q 災害救助犬の捜索はどういう風に行うの?
- まず、消防隊や自衛隊を連携し、捜索範囲を決定します
- 1頭目の救助犬、捜索開始
- 1頭目の救助犬の反応があった部分に重点を置いて、2頭目捜索開始
- 1頭目、2頭目、共に反応があった場所を、消防隊、自衛隊に共有
- 消防隊、自衛隊が捜索
- 発見
という流れで捜索を行います。
まとめ
私は、働く犬たち=不幸、かわいそう っていう世間のイメージが変わればいいなと思ってます。
今回殉職した「プロテオ号」も「人間のために犠牲になった犬」ではなく・・
ただただ「ありがとう」
写真の優しい瞳からきっと、ハンドラーとの日々はプロテオ号は幸せだったに違いないと思いました。
働く犬たちにも性格があり、適性がある。
その適性を見極め、良い所を伸ばし、選ばれた犬たちが人と共に働く犬となる。
働く犬=すごい犬≠家庭犬
ではなく、働く犬も家庭犬も人と共に暮らす動物たちが幸せでありますように。
災害救助犬の飼い主=ハンドラーは犬たちをよく理解し、家族のように愛し、怪我をしないように細心の注意を払い、被災した人々のために、共に活動してくれている。
災害が起きたとき、一刻もはやく救助を望む被災者家族の希望の光となる災害救助犬。
そんな人と犬たちがいることをたくさんの人々が知り、人と共に働く犬たちの認知度が上がれば嬉しく思います。
追伸
私の妹は災害救助犬のハンドラーをしており、実家には現役の災害救助犬たちがいますが、災害現場ではきびきび働く彼らの面影全くない・・やんちゃな犬たちでございます☺
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