はじめに
前回、瀕死だった子猫「福くん」を保護した時の話を書きました。
今回はその続きです。
動物病院からの連絡
12時。携帯電話に動物病院から着信がありました。
一瞬、仔猫がダメだったのではないかととてもドキドキしました。
恐る恐る電話に出ると、先生が淡々と話し始めました。
「10時頃から13回以上様々なシャンプーで洗いました。
しかし、まだベタベタしていて完全には取れていません。
最終的には小麦粉をまぶして、とりあえず触れる状態になりました。
お湯で洗ううちに、刺激されたのか、体温が少し上がり、うんちも2度ほどしました。
現在体温34度です。
それと、試しに高栄養ウェットフードを与えてみると、手から少し食べました。
これが本当にすごいことなんです。この状態で、食べる意思があること、それは今この子が生きようとしている、生きたいと願っている、ということです。
保護した時の状態だと、もう生きることを諦めていることのほうが多いです。
その場合、何をやっても無駄です。正直助からないことのほうが多いです。
でもこの子は生きることを諦めていません。
今は点滴で脱水症状を改善する治療をしながら湯たんぽで体を温めています。
良い方向へは向かっていますがまだ予断を許さない状態です。
3日間ほど、入院させたほうが良いと思います。いかがですか?」
生きてた・・本当に良かった・・
まだ予断を許さない状況とはいえ、とてもホッとしたことを覚えています。
入院の件について、先生にお願いして、合わせてこれから少し面会に伺って良いか確認したところ、ぜひどうぞ、とのことで動物病院へ向かいました。
面会
ICUで横たわる福くんは本当にまだ痛々しい感じでした。
それでも先生は、私が朝、病院へ伺った時の冷淡な表情とは全く違う、優しい表情で、
「貴方の救ってあげたいと思った気持ちに答えるようにこの子の生命力はすごいです。
多分、あと少し保護が遅ければ熱中症で亡くなっていたと思います。本当に良かった。」と。
看護師さんも福くんを撫でながら、
「洗ってても時々ニャーって元気よく鳴いてました。ご飯もびっくりするくらい食べようとしてくれて・・やんちゃになるかもしれませんね~」と。
福くんを取り囲む看護師さん、先生、その場の空気がとても暖かく、福くんはきっと元気になる、そんな気持ちになりました。
私は福くんに、頑張ってね。迎えに来るからね。と声をかけてその日は帰宅しました。
退院・その後
3日後、先生から退院しても大丈夫、と連絡を受け、福くんを迎えに病院に向かいました。
病院で再会すると、そこには診察台の上にうずくまり、ギョロっとした目で不安そうにこちらを見つめる福くんが。(少しも動きませんでした)
不安だよね、もう大丈夫。
先生には猫エイズ・白血病の検査とノミ・ダニの駆除薬の塗布をお願いしました。
猫エイズ・白血病の検査は陰性。(一安心)
退院時には体温も37.6度まで回復していました。(仔猫の通常の体温は38度~39度)
高栄養缶詰を購入して帰宅しました。
その日から、福くんはみるみる元気になっていきました。
最初は4時間置きにご飯をあげて、様子を見ました。
病院では500gだった体重も、退院して3日後には570g。
1週間後には637g・・・1か月後には1300gまで成長してくれました。
一度手を怪我して病院へ行ったことと、毛のベタベタが完全に取れていなかったので病院でシャンプーをしてもらって毛刈りをしたこと以外は本当に順調でした。
気が付くと、人への警戒心も解けていき・・いたずら大好きな元気な男の子に✨
本当に可愛くて仕方ありませんでした。出会いに感謝。
- 猫の身体全身に小麦粉をまぶす(濡らさない)
- ベビーオイルを全身に
- こすると結構落ちてきます
- 最後に薬用シャンプー
- それでも落ちないところは毛を刈る
でした。
毛を刈った部分もすぐ新しい毛が生えてきましたよ!
まとめ
やはり、一つの命。それなりに費用がかかりました。
でも、助ける判断をしたことに、後悔はありません。
なぜなら、今、仔猫が楽しく遊んでお腹いっぱいご飯食べて、きっと幸せを感じてくれていると信じているから。
そして、そんな仔猫の姿を見守ることが出来た私は幸せだから。
福くんは、保護してから1か月後、里親さんにもらわれていきました。
愛猫を亡くし、次の出会いを里親サイトで探していると知り合いの方から偶然にも連絡あり、福くんの話をすると”ぜひ!”と譲り受けてくださいました。
里親さんのおうちでの名前は”ダンボ”。(確かに耳大きいな・・)
かわいい名前をもらって、可愛がってもらっています。
今回、瀕死の仔猫を保護してみて、動物病院の対応の厳しい現実や、費用のこと、初めて知ったことや考えたこともたくさんありました。
参考までに・・今回子猫の保護にかかった費用
- 初診料・カルテ登録料 3200円
- 猫エイズ・白血病検査料 4600円
- ノミ・ダニ駆除薬 (ブロードライン) 2200円
- 入院費(3日) 10800円
- 入院治療費 13500円
- 初回シャンプー代 12000円
- 高栄養缶詰 2缶 940円
- 糞便検査料 1600円
- 皮膚の洗浄・消毒代 4000円
- 手の怪我 再診・検査料 3900円
- 薬代 5500円
合計 62240円
(参考)このうち健康な仔猫を保護した場合でも必要と思われる費用
赤色マーカー部分合計11600円
今後最低限必要な費用
猫ワクチン2回 5000円~8000円 去勢手術 5000円~20000円
日常的に保護活動を行ってらっしゃる方や保護団体の方々には本当に頭が下がります。
また、動物病院によっては、保護した動物に対しての治療費に関して、とても良心的な病院もあるようです。
でもそれが当たり前ではないということを心に留めておきたいですね。
最後に、もし仔猫や野良猫を保護した場合に出来ることをまとめておきます。
突然の出会いに戸惑ってしまった方の参考になれば幸いです。
もし野良猫を拾ったら?
動物病院に連れて行きましょう
連れて行く際は
- 衰弱している場合もあるので保温をしっかり
- 命に対して少しの勇気と責任をもって
”助けてあげたい””何とかしてあげたい”と思ったその気持ちを大切に、出来ることを考えることが大切✨
動物病院にて、身体検査・糞便検査・猫エイズ・白血病の検査・ノミダニ駆除薬の塗布をお願いすることがおすすめです。
- 身体検査では猫の身体の状態(衰弱している、怪我の状態)を確認してもらいましょう。
仔猫であれば歯の生えそろい具合で生後何か月くらいなのか推定することも可能みたいですよ。
- 糞便検査では寄生虫の有無を確認してもらいましょう。
猫回虫は人間にも感染するので注意!
- 猫エイズ・白血病の検査は必ず行いましょう
猫エイズとはFIV(猫免疫不全ウイルス)というウイルスに感染することで猫が免疫不全になる感染症です。猫エイズウイルスはウイルスを保有する猫と喧嘩をすることで主に噛まれた傷口から唾液が体内に入ることで感染します。
猫白血病もウイルスにより免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなる病気です。猫白血病は体をなめあったり、感染している猫と同じ食器を使うことでも感染します。ワクチンで防ぐことが出来ますが、野良猫の約3~5%が感染しており、約15~20%が猫白血病ウイルスを保有していると言われています。
- ノミ・ダニの駆除薬の塗布も必ず行いましょう
ノミ・ダニが猫や人間へ媒介する感染症はたくさんあります。
駆除薬は塗布して約1日で猫の全身にいきわたりますので出来るだけ早く行いたいですね。
自分で飼うことが出来る、又は一時的に預かることが出来る場合
- 先住の猫がいる場合は隔離しましょう
猫エイズや猫白血病など伝染病を患っている可能性もあります。
また、ノミやダニ、寄生虫を持っているかも。(人間も注意!)
- 保健所や警察に連絡を取ってみましょう
場合によっては飼い猫や迷い猫の可能性も。
飼い主さんが探しているかもしれません。
環境やアレルギーなどで自分では飼うことが出来ない場合
- まずは身近に一時的に預かってくれる人や里親になってくれる人がいないか探してみましょう
実は猫を飼いたいと思っている人もいるかもしれません。
声をかければ協力してくれる人も意外と身近にいるものですよ。
- SNSや里親募集サイトなどを利用して預かりボランティアや里親希望者を探してみたり、とりあえずペットホテルに預けることも一つの方法です
- どうしても困ったら、保護団体に相談してみましょう
保護を依頼するにも条件があったり、費用がかかったりします。
くれぐれも”自分の猫じゃないから”と保護団体へ丸投げしてはいけませんよ。
一度はどうにかしてあげたいと思った命、責任を持った対応をしていきたいですね✨
保護団体によっては費用負担が難しい場合、ボランティアで働くことを条件に保護してもらえる団体もあるみたいですよ。
困っている猫を見かけたら、当たり前のように手を差し伸べて、それぞれが出来る方法で助け合えるそんな世の中になったらいいな✨
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