最初に
我が家では今、とてもやんちゃな子猫、福くんが走り回っています。
「福」という名前は、どうか幸せになってほしいという気持ちと、出会いは衝撃的だったけど我が家に福が来たって思うとなんだか良いよね。って旦那と話して決めました。
そんな福くんも、明日、里親さんのところに行くことに。
元気になってくれたことへの嬉しさ半分、寂しさ半分。そんな気持ちです。
もちろん、我が家でそのまま飼うことも考えましたが、今、我が家には10歳9歳の保護猫(病気持ち)と14歳の歩くことが困難な犬がいるため、いろいろと手一杯で、里親さんのところへ行ったほうが福くんはのびのび暮らせるのではないかと考え、決めました。
幸いなことに、信用のおける知り合いの方が、先住猫が亡くなり、子猫を探してらっしゃったのでそちらへお願いする予定です。
そんな福くんとの出会いのエピソードや、そこで改めて感じた命の重さ、考えたことなどまとめました。
この先、もし同じように子猫を保護した人がいたら、少しでも参考になれば嬉しいなと思います。
出会い
2022年6月20日、朝8時頃、この日はまだ6月なのに最高気温が36度という暑い日でした。
いつものように職場へ向かって歩いていると、「にゃー・・・」と苦しそうな猫の声が聞こえました。
(どうしたんだろう?鳴き声が普通じゃないな・・どこにいるのだろう・・?)
そう思った私は、近くを探し始めました。
職場は兼業農家さんで、倉庫にトラクターが停めてありました。
トラクターの近くを通ると「にゃー・・・」と聞こえます。
すぐにトラクターの下や周りを探しましたが見当たりません。
(おかしいな・・と顔を上げたとき、運転席のアクセルペダルの下に何か黒いかたまりが見えました。)
え?
よく見るとネズミ捕りのシートにべったり引っ付いたピクリとも動かない真っ黒な子猫。
(死んじゃってるかも・・鳴いてたのこの子・・?)
そう思いながらよく見るとお腹がわずかに動いていました。
(息してる・・どうしよう?)
(動かしたら死んじゃうんじゃないかな・・正直、触れるのも怖かったです)
私は悲惨な状況に気が動転してしまって気が付いたら旦那に電話していました。
「どうしよう・・子猫が・・子猫が・・」
動揺する私に旦那は冷静に、「近くの動物病院探して、すぐ動物病院に連れて行ってこい!」と言ってくれました。
少し冷静になれた私は、車に置いていた犬用バスタオルでネズミ捕りシートごと子猫を包み、抱きかかえました。
子猫を抱き上げたとき、弱弱しく子猫はまた「にゃー・・」と言いました。
(生きてる!生きようとしてる!急がなきゃ・・!)
子猫を連れて行こうとしたとき、母猫が姿を見せました。きっと、我が子がネズミ捕りに引っかかって動けなくなって、心配でずっと近くにいたのだと思います。
私は母猫に、「ごめんね。このままここにいてもきっと死んじゃうから連れていくね」
そう声をかけて、急いで車に乗り込み、一番近い動物病院へ車を走らせました。
(この後、職場で母猫には一度も会っていません。きっとこの場所を子猫を取られた危険な場所として認識して、移動したのでしょう。今でも少し心残りですが仕方ないですね・・)
動物病院にて
時刻は8時25分。動物病院に着くと、受付は8時30分からと書いてありました。
(よかった・・まだ生きてる・・事情を話して診てもらおう・・)
そう思って受付へ行くと、受付の看護師さんに、野良猫かぁ・・と少し嫌な顔をされ、
「先生は9時にならないと来ないから、診てもらうにはあと30分は待ってもらわないと・・それに予約のお客さんもいるし、診察急ぐなら他の病院へ行ったほうが良いですよ。ここから5分で他の病院あるから」
と言われました。
(急患でもすぐに診てもらえないんだ・・死んでしまいそうなのに・・)
悲しい気持ちになりつつも、仕方なく、他の病院へ。
8時45分。病院へ到着。
子猫はさらに弱ってきている感じがしました・・
事情を話すと、
「野良猫とのことですが、診察すれば、お金がかかります。お支払いいただくことをご了承いただけますか?
もし、元気になった場合、当病院では引き取ることも里親を探すこともできません。それでも診察を希望されますか?」
とのこと。
私は、もちろんそのつもりでいたので「大丈夫です。お願いします」と答えました。
すると、ようやく診察室へ・・。
子猫の体重は500g。生後2か月くらいでしょうとのこと。
体温は33度以下(体温計で測れないほど低体温)、意識は混濁レベル、呼吸も浅い。
先生からは、
「この子猫はもう5分後には死んでしまうかもしれないくらい弱っています。
治療をするにしてもネズミ捕りシートの粘着物が全身についているため、それを洗ってからでないと、何もできません。
しかし子猫を洗うとなると、子猫も体力を使うため、洗ってる途中で死んでしまうかもしれません・・。
洗う薬剤も、すぐ準備ができないため、洗って処置するにしても、1時間後。(予約の患者さんを終わらせたらすぐ取り掛かります。)
しかしそれまで命が持つかどうか。
費用も、シャンプーだけでも1万円くらい必要だと思っていてください・・
どうされますか・・?」
(このまま看取るか・・少しの希望にかけて治療をお願いするか・・)
想像していたよりも辛い現実。そこで決断をしなければなりませんでした。
(何もしなかったら消えていくであろう命。
まだ子猫。少しでも可能性があるならできる限りのことはしてあげたい・・。そう思っていました。)
「治療をお願いします・・」
その言葉を聞いた先生は、すぐに看護師さんに、
「子猫をICUへ!すぐ保温!!」と伝え、
「できることはやってみます。何かあれば携帯へ連絡させていただきます。」と。
入院の承諾書の記入をし、祈る気持ちで子猫を預け、一度職場に戻り、病院からの連絡を待ちました。【後編へ続く】
まとめ
最初、子猫に出会ったときは、何とかしなきゃ!の一心で、子猫の写真を撮る余裕もありませんでした。写真なくてすみません。(撮影してても痛々しくて載せられなかったかも・・)
動物病院での一見、獣医さんの冷たく感じる言動も、獣医さんの動物愛あってのことだと後から知ることになります。
「瀕死の野良猫を見つけたら、あなたは助けますか?」
「助けた後の命についてあなたは責任取れますか?」ということですよね。
かわいそうだからと、実際、助けたつもりで動物病院へ連れて行って、野良猫だから、自分の猫じゃないから、とお金を払わない人や、猫を病院へ預けた後、音信不通になって迎えに来ない人もいると聞きます。
病院でせっかく命を助けても里親見つからない→病院にも置いておけない→保健所へ‥となってしまっては何のために助けたのかわからなくなってしまいます。
私は、福くんを実際保護するまで、そんな現実も知りませんでした。
でも今思うことは、あの時、勇気を出して保護して良かった。
なぜなら、保護していなければ、福くんの今日はなかったかもしれないから。
楽しそうに走っている姿を見ていると、心からそう思います。
この続きも読んでもらえると嬉しいです。
次回は実際動物病院でかかった費用や、元気になるまでのことなども載せようと思っています。
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